Control your own destiny-中2職業人講話

キャリア

6月11日(土)、中2を対象に職業人講話を実施しました。

職業人講話は、本校のキャリア教育における中2のテーマ「職業研究」の一環として行っており、社会の第一線で活躍されている方々を招いています。この日お招きしたのは、東京電力ホールディングス㈱の立岩健二さんです。

まず、立岩さんが座右の銘として掲げたのが、米ゼネラル・エレクトリック社の元CEOジャック・ウェルチのこの言葉です。

 

“Control your own destiny or someone else will.”

「自分の人生は、自分で切り拓け!」

 

人生の岐路に立ったとき、立岩さんの選択にこの言葉はどんな影響をもたらしたのでしょうか。

ご自身のキャリアについて、語ってくださいました。

 

立岩さんは当初、東京電力で技術者として原子力の安全に関わる仕事をしていましたが、2000年ごろ、アメリカのエネルギー会社・エンロンの日本上陸を契機に、『外資に対抗できるような経営も分かる技術者になりたい』と考え、2002年から2年間、スタンフォード大学ビジネススクールに留学し、MBA(経営学修士)を取得しました。

 

 

スタンフォード大学は学ぶには最高の環境であったといいます。 1日10時間、猛烈に勉強するだけでなく、課外活動で何十人ものグループを束ねてイベントを行ったり、遊びを通しての人脈形成をしたりと、びっしりと詰まったスケジュールの日々を送りました。どうしてそこまで頑張ることが出来たのか? それをやらないともったいないと思うくらい、学びの機会、吸収する機会がたくさんあり、毎日全力でやらないともったいないと思わせてくれる素晴らしい環境だったからです。この、留学時代のエピソードは、刺激を受けた生徒も多かったのではないでしょうか。 真剣に耳を傾ける生徒の表情が印象的でした。

 

帰国後、原子力部門での仕事を経て2005年、獲得した知識やスキルをより生かせる国際部へと移り、海外での発電事業を推進する仕事に就きました。この決断を後押ししたのも、ウェルチの言葉「Control your own destiny」でした。そして、2011年3月に発生した福島第一原発の事故に際しては、現場での事故の収束に当たるとともに、世界に対していったい何が起きているのかを説明する必要に迫られました。

 

しかし、当時の東京電力には、高い専門的知識を要する説明を、「英語」で行う体制が整ってはいませんでした。そんな中、技術者として専門的知識を持ち、高い英語力を備えていた立岩さんに白羽の矢が立ち、海外向けのプレスリリースを英訳し続けたそうです。

 

IAEA(国際原子力機関)調査団が福島第一原発に訪れた際にも、立岩さんが通訳を務め、その後、ワシントン事務所に異動、計200回以上、延べ1万人以上に対して、事故に関する正確な事実関係と教訓を英語で直接発信してきました。そして現在は帰国し、福島第一廃炉推進カンパニーで、福島第一原発の廃炉に関わる仕事に携わっています。

 

最後に生徒たちに向けて、「グローバルに活躍し、世界に貢献できる人材になるために必要なことは何か」、まとめとしてお話してくださいました。

1つは、プレゼンテーション、財務、語学、交渉、戦略といった、専門家にはない幅広いスキルと、一流の専門家にも負けない得意分野、この両方を身につけること。これは同時に視野を広げ、活躍の場も広がっていきます。

 

2つめは、「情熱・向上心・行動力を磨いていこう!」。これはどれか一つがあるだけでは足りなくて、「こんなことがしたい」という『情熱』を実現するために、学んだり努力したりできる『向上心』、そして獲得した知識やスキルをアウトプットして世の中にために役立てる『行動力』が必要であるといいます。

 

そして最後の3つめは、「自分の人生は、自分で切り拓こう!」。待っているだけでは身につけてきた実力は生かせない。主体的に自分の人生をコントロールし、実力も発揮し、世の中に役立てる。そういう気概を持って欲しいと、立岩さんは力を込めて語ってくださいました。