自己成長を可視化するポートフォリオの活用ー夏期教員研修

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8月30日(木)、夏期教員研修を実施しました。本校の教員研修は春・夏・冬の年3回行います。教員研修のねらいは三田国際学園が目指す「世界標準の教育」の実現に向けて、私たちに課された「ミッション(使命)」を共有することにあります。本校の理念、方向性をあらためて確認することで、個々人がより高いモチベーションのもと、目指す教育の明確なビジョンを描くことができます。

 

研修のはじめには大橋清貫学園長の講話があり、これからの時代に必要とされている教育とは何か、それを実現するために私たちが成すべきことは何か、ということについて最新の動向を踏まえながら、「ミッション」として語られました。このミッションを受けて、それをどう具体的にカリキュラムや行事にどう落とし込み、生徒の成長を促していくかを考え、かたちにしていきます。

 

今回の研修は「生徒の自己成長を可視化するためのポートフォリオの活用」がテーマとなりました。「ポートフォリオ」とは「書類入れ」という意味があり、デザイナーなどの作品集や金融・投資における金融商品一覧などを指す用語です。教育におけるポートフォリオは、生徒の学習過程や行事、課外活動の内容や成果、そこから得た気づきや成長のレポートを記録したものを指します。これらの記録をもとに振り返りを行うことで自己理解を深め、日々の学習や進路選択をはじめとするキャリア観形成の助けとなります。

 

本校では、それらの記録をオンラインで行える「eポートフォリオ」を、試験期間を経て今年度より本格的に導入し、実際に生徒は記録を始めています。その1学期間の活用事例を全体で共有するとともに、ポートフォリオへの理解を深め、より効果的に活用していけるようロールプレイやグループワークなどを実施しました。

 

ポートフォリオを活用した研修を行うにあたり、eポートフォリオなど教育工学を専門とされる東京学芸大学の森本康彦教授をお招きして、探究的な学びのあり方とeポートフォリオについて講演をしていただきました。ポートフォリオはそれ自体が目的ではなく、主体的で探究的な学びを促進、サポートするためのツールであるという考え方を再認識した上で、それを本校の教育プログラム、カリキュラムにどう活かしていくかのヒントがたくさん盛り込まれていました。

 

つづいて、行事や課外活動の記録だけでなく、毎日の授業においても活用の範囲を広げることを想定し、ポートフォリオを取り入れた授業のロールプレイを実施しました。 教科における評価はレポートや定期試験などの比重が高く、生徒もまた自己成長を最終的なアウトプットで判断しがちでした。こうした課題解決のために、ポートフォリオを活用して、日々の授業の中での自身の気づきや理解の深まりを記録し、学びのプロセスを「見える化」し振り返ることができるようにしようという試みです。

 

ポートフォリオには、行動の履歴や成果物、それに対する自身のフィードバックなどに加えて、教員からの発問に対する自分の考えを記録していくこともできます。ロールプレイではシラバスをもとに一つの授業をデザインする過程を実演し、その授業の到達目標と学習内容に対してどのようにポートフォリオの要素を取り入れているかを共有。どのような発問がより効果的に学びの深まりや気づきを促すか、生徒の立場で課題に取り組みながら考察しました。 そして研修の最後には、ロールプレイを参考に各自がポートフォリオを取り入れた授業デザインを考え、教科ごとに発表を行いました。

 

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