社会課題に立ち向かうー高2本科ハワイ海外研修

行事

11月12日(火)から11月17日(日)にかけて、高2本科コースの海外研修をハワイにて実施しました。

 

中1のオリエンテーション合宿に始まる本校の宿泊行事は、いずれもキャリアプログラムの一環として位置づけられています。中学の各行事は「自己理解」を中心に展開しますが、高校では卒業後も見据え、それまで向き合ってきた自分を「社会の中の自分」として”再構築”することがテーマです。そして、高2の海外研修はキャリアプログラムの終着点、そして社会との接続点として位置づけられており、世界への関わり方を考えながら自分を表現することを目的としています。

 

本科コースの海外研修は、同コースの高校1年次から設定されている「Liberal Arts」という授業と密接に関わっています。この授業は社会的な課題(Challenge)に対して、学問分野の垣根を越えて実践的アプローチをする「Challenge Based Learning(CBL)」という形式で進められています。生徒たちはグループごとに「Ocean & Environment(海洋環境)」「Overtourism(オーバーツーリズム)」「Waste Reduction(廃棄物削減)」「Food Loss(食品ロス)」「Children & Poverty(子どもの貧困)」「Homelessness(ホームレス)」という6つの課題を設定し、日本とハワイの現状について学んだり、実地調査等を行ったりしてきました。そして今回の海外研修では、自分たちで作成した企画書をもとに、現地でのアクティビティに臨みました。

 

子どもの貧困と食品ロスー食を通して考える

最初に、食に関する課題を設定した2つのグループについてレポートします。「子どもの貧困」という課題に対し、日本における「子ども食堂」という取り組みに着目したグループと、品質には問題がないにもかかわらず捨てられてしまう「食品ロス」という課題に焦点を当てたグループです。

 

子ども食堂のグループはまず、アメリカの学校給食プログラム(National School Lunch Program)について調査するため、現地の公立の小学校と高校を訪れて、英語によるインタビューや見学を行いました。このプログラムでは世帯収入に応じて、対象生徒に無料あるいは低価格で食事を提供しています。

 

このグループは日本で子ども食堂を訪問した際、周囲の目を気にしてサービスを利用できない子どもがいるということを知りました。一方、訪れたハワイの学校では、周囲の生徒には利用していることが分からないよう、費用を自動処理するプリペイドカードを全員に持たせているそうです。サービスを整えるだけではなく、必要とするすべての人に届けるための工夫が大切だと気付かされます。

 

また、2つのグループはそれぞれ現地のフードバンクを訪問しました。フードバンクとは、農家や企業の生産・製造工程で発生する規格外品を引き取り、福祉施設などに提供する活動・団体です。日本にあるフードバンクの数はまだ限られていますが、ハワイではこの活動が広く認知されています。

 

「ここでは、必要な人がもらいに来るのは当たり前のこと。互いに『施す/施される』という感覚があまりないので、恥ずかしいという感情も湧きにくいんです。」職員の方のお話からは、利用者が後ろめたさを感じなくてもいいような、社会の"空気"に気付かされます。設定した課題の根が思わぬところにも伸びていることに気付いた生徒たち。お話を伺ったあとは、食品をさまざまな施設に送るための仕分け作業を手伝いました。

"生きやすさ"を支援することーホームレス問題

もう一つ、ホームレス問題に課題を設定したグループについてレポートします。このチームは2日間にわたって「Kahauiki Village」という、ホームレスの人々が住むための住宅施設を訪問しました。

 

かつてハワイ州ではホームレスの数が増え続け、2015年には非常事態宣言が発令されました。これを受け、州はそれまでの一時避難用の仮設住宅に代わって、家族で安価に住める常設住宅を建設するプロジェクトを開始しました。そのうちの一つがこの施設です。

 

約45,000平方メートルの広大な土地が広がるこの施設には、菜園や果樹、養魚場があり、住宅の提供だけではなくコミュニティの持続可能性にも挑戦しています。また低価格の保育所を設置することで、保護者が働きやすい環境も整えていました。さらに子どもたちへの早期教育も実施しており、なかには奨学金をもらって私立学校に通っている子どももいるそうです。貧困の連鎖を断つために、この施設が大切にしている取り組みです。

 

ただ、このように住みやすい環境を整える一方で、すべてを"与えすぎない"勇気も必要だと職員の方は語ります。一人ひとりが尊厳を持ち、コミュニティの一員としての自覚を持てるよう促すこと。それこそ、誰もが"生きやすい"社会を実現することにつながるから。日本のホームレスを取り巻く環境とも比較しながら、課題解決の糸口をつかむことができたのではないでしょうか。

アクティビティを終えて

研修3日目の午後からは、アクティビティを振り返って共有するための動画制作に臨み、夜には地元の高校生や大学生も招いた上映会が行われました。日本での学びや活動と関連づけながら物語のように構成されたものや、人々の"生"の声を伝えることに重点を置いたもの、活動内容をアニメーションで視覚的に伝える工夫をしたものなど、個性豊かな作品が披露されました。

 

その後の話し合いでアクティビティの総括を行い、ここで新たに浮き彫りになった課題を今後の授業で発展させていくことを確認しました。海外研修はここで終わりますが、生徒たちの学びはこれからも続きます。自分自身で"課題"を見つけて立ち向かうということは、持続可能な社会の担い手であるために、卒業して社会に出た後も求められるからです。その時にここで培った力が活きたなら、これ以上にうれしいことはありません。

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