最先端の研究の場へー高1MSTC基礎研究

授業

高校メディカルサイエンステクノロジーコースの「基礎研究」では、1~2年次にわたって生徒自らがテーマを選択して研究活動を行います。すでに1年生は入学直後からテーマ選定を行い、5月には自身が選んだ研究テーマについて事前に調べたことや、疑問や関心事項についてクラス内でプレゼンテーションをしました。

 

現在は朝や休み時間、放課後など自分たちで研究時間を作ってラボに集まり、実験や調査を行うだけでなく、研究計画や得られたデータなどについて生徒同士、時には指導教員も交えながらの議論も活発になされています。1年生はこれまでの中間報告というかたちで10月に開催されるMITA International Festival(学園祭)で発表を行う予定です。

 

この夏休み期間中、研究活動の一環として2つのグループが外部の研究室を訪問しました。
グループの研究内容や、訪問時の様子をレポートします。

8月6日(月)理研CSRS ケミカルバイオロジー研究グループを訪問

人々が感染症などの治療で使用している抗生物質は、実は微生物が作っています。 高1MSTCの微生物採取班では、このような薬のタネを作る微生物を探しています。4月から生徒たちはさまざまなところから土壌を採取、これらの土に含まれていた微生物を一つひとつ単離(=ここでは、さまざまな菌が生えているプレートから一つひとつの菌を取り出すこと)し、抗菌物質をつくる微生物をいくつか発見してきました。

 

しかし、これらの微生物が作っているものがいったい何なのか、新しいものなのか、すでに知られているものなのかについては、生徒たちでは調べることができません。そこで班員たちは埼玉県和光市にある理化学研究所 (理研) CSRS ケミカルバイオロジー研究グループを訪問し、自分たちが発見した微生物が作っているものの解析を行いました。

 

このような物質の解析の第一段階では、液体クロマトグラフィー/質量分析法 (LC/MS) という手法が用いられます。微生物が作るさまざまなものをクロマトグラフィーといわれる技術で分離し、これらの光の吸収の仕方や分子の大きさを測定していきます。こうして測定した情報と、今まで見つかった抗菌物質の情報とを比較することで、新しい物質かどうかを調べられるのです。

 

今回分析を行ったものでは水に溶けやすいものから油に溶けやすいものまで、さまざまな物質が検出され、これらの分子の大きさをそれぞれ測定していきました。その結果、さまざまな物質が微生物によって作られていることは分かりましたが、これらの詳しいところまでは「よく分からない」ことが分かりました。

 

これは決して悪い結果だったというわけではありません。なぜなら簡単に今まで知られている物質の情報と一致せず、新しい物質である可能性が残されたからです。また次の段階に進むために必要な情報や、その情報を得るための実験も明確になりました。

 

訪問を終えた生徒は「研究の奥深さを知った。新しいものを見つけ出すためには、今まで蓄積されたものも知っていなくてはならない」とレポートに書き記していました。

新しい薬のタネを探す旅は続きます。

8月22日(水)学習院大学・阿形研究室を訪問

高1 MSTCには、プラナリアについて研究しているグループもあります。プラナリアとはウズムシと呼ばれる生物の総称で、身体をいくつに切ってもその断片がそれぞれ再生して、個々のプラナリアになるという特徴があります。班員は中学の基礎ゼミナールで行っていた研究テーマを引き継いでおり、プラナリアに関するさまざまな実験を行ってきました。
(写真はプラナリアの顕微鏡画像。黒い2つの点が目で、見慣れてくると愛嬌のある顔をしています)

 

しかし最近になって、飼育していたプラナリアが全滅する事態に何度も見舞われました。原因を探ろうとしてもこれといったものが見つからず、困り果てていました。そこで彼らは、プラナリアについて最先端の研究を行っている学習院大学の阿形清和教授の研究室(理学部生命科学科・再生生命学)に自ら連絡を取りつけ、訪問することにしました。

 

生徒たちは自ら制作したkeynoteを用い現状を説明し、飼育がなぜうまくいかないかを尋ねました。対応してくれた井上武助教からは、プラナリアの飼育には温度と水質管理がとても大事なこと、またプラナリアといってもさまざまな種類があることなどを教えていただき、さらには研究発表ポスターなどを用いて、最先端のプラナリア研究についても解りやすく説明してくださいました。

 

最後に実際にプラナリアを飼育している部屋にも案内してくださり、目が身体の周りに付いている珍しいプラナリアや、つい最近新種として発表されたものについても見せていただきました。学校に戻った生徒たちは、プラナリアの飼育環境を新しく作り直すなど、早速井上先生から習ったことを実践しています。今後の実験結果に期待です。

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